【焼き芋神と呼ばれる男?】天谷さんの秘密にせまってみた(1)

2022年2月さいたまスーパーアリーナけやきひろばで開催された「全国やきいもグランプリ」は皆さんご存知だろうか。購入だけでなく入場にも長蛇の列ができる「日本トップクラスの焼き芋イベント」だ。

https://twitter.com/minnanoseika/status/1496507683373187073

全国より人気の焼き芋店が集結して大盛況に終わったこのイベント中に、ある一人の人物の名前を耳にする。天谷窓大さん。参加している各店舗担当者から「天谷さんは凄い」「天谷さんのおかげ」など絶賛されている人物なのだ。

天谷さんの肩書きは「焼き芋アンバサダー」。さらにサウナ熱波師、放送作家、イベントディレクターなど6つの肩書を持つ。「さつまいも博」では出店する焼き芋専門店の手伝いに駆け回っていた。

天谷さんとはどんな人なのか。なぜこんなにも焼き芋業界で凄い人なのか。横浜の人気スーパー銭湯「ファンタジー&スパ おふろの国」で夜21時の熱波を終えたあと、一息ついた天谷さんにじっくりと話を聞いてみると『次世代焼き芋の裏側にこの人在り』と言えるぐらいの“熱い想い”が溢れてきた――。

エクストリーム出社がきっかけで焼き芋フェスにつながっていった

――元々はエクストリーム出社で話題を作った人物が天谷さんだと聞いています。

エクストリーム出社(ウィキペディア)
エクストリーム出社は、早朝から観光海水浴登山などのアクティビティをこなしたのち、定刻までに勤務先に出社するエクストリームスポーツであり、リフレッシュを主目的としてレジャーを楽しむ、早朝から出社までのプロセスを差す言葉である。この場合、スポーツとしての競技性はともなわない。

憂鬱な出勤時間を「出社というパフォーマンス競技」に見立ててTwitterで実況する遊びですね。もともとは友人同士のふざけ合いみたいなものだったんですが、ひょんなことからバズってしまいまして、結果としてイベントディレクターとしてのお仕事もいただくようになりました。いわばここがそもそもの原点なんです。

――そこで季節的に秋冬だったから焼き芋だったんですか??

エクストリーム出社の活動が認知されてきて、勤めていた会社の事業として、「エクストリーム出社イベント」を行うことになったんです。

あれ、会社が憂鬱だったんじゃないの? とツッコまれてしまいそうですが(苦笑) これには経緯がありまして。最初は会社に黙って個人で活動していたんですが、徐々に取材の問い合わせが増えてきて。トイレに立つふりをして電話に出ていたりしたんですが、それもだんだんごまかしづらくなってきたところに、とある週刊誌で見開き特集していただいて、それが社長の目に入ることとなったんです。

ある日会社に来たら、「これ、君だよね?」と。ついにクビを言い渡されるかとビクビクしていたら、「会社でイベント事業を始めようと思っているんだけど、エクストリーム出社をイベントパッケージにしてみないか?」と。

仕事からの逃避で始めたエクストリーム出社が“仕事”になるというのもなんだか皮肉な話なのですが、イベントプロデュースの仕事にはずっと憧れていたので、<正式に会社の事業として、平日早朝、出社前の時間帯を活用して遊びのアクティビティを体験する「エクストリーム出社イベント」の企画に乗り出すことになりました。

――ちなみにこれまでどんなイベントをやってきたんですか?

月1回ペースでエクストリーム出社イベントをやろうということで、毎回季節感が味わえるイベントをやっていました。夏場だったら、海岸を貸し切った「早朝スイカ割り大会」とか、都心にある小学校の校舎跡を使った「早朝運動会」とか。

ちょうどそのころは毎週のようにメディア取材が殺到していたので、イベントごとに企業さんのタイアップを取り付けまして。全国ネットのテレビ番組に長時間露出できるPRの場として活用していただくことで、営業収益を上げていました。

――すごい、ちゃんと事業として成立していたんですね。エクストリーム出社の話が面白すぎますが、それにしてもまだ焼き芋の話が出てこないですね・・・
ここからようやく焼き芋の話になってくるんです(笑)

日の出も早く、気温の暖かい春夏は早朝イベントも開きやすかったのですが、日が遅くて寒い秋冬になってくると、より参加したくなるイベントを考えなければならなくなって。せっかくならば、寒さを楽しめるような企画をできないかと考えていました。

そんななか、会社の上司から、「みんなで焼き芋食べて会社に行くのはどう?」と。たしかに焼き芋は、寒ければ寒いほど美味しく感じるし、暖まって会社へ行くテンションも上がりそうだなと思って、実施の方法を検討し始めたんです。

最初は落ち葉を集めて本当に焼き芋を焼こう、と思い、都心で火が使える場所を探したんですが、まったく見つからなくて。さつまいも農家さんの畑をお借りする案も考えたのですが、こちらは都心から離れすぎていて、焼き芋ができあがるころには始業時間を過ぎてしまうと。頭を悩ませた結果、「各地で移動販売している焼き芋屋さんに集まってもらうのはどうか」とアイデアに行き着きました。

ただ、それにしたって、早朝1〜2時間だけの“営業”では、利益なんてほとんど出ないだろうと。せっかく人通りの多い都心で開催するのだし、マルシェ形式にして通りがかった方も購入できるようにすれば、焼き芋屋さんの売り上げにも貢献できるのではないかという考えから、「オフィス街での焼き芋マルシェ」という、企画の原型ができあがりました。

――野菜の直売マルシェは各地で人気でしたが、焼き芋のイベントっていうのは存在しなかったんですか?

なかったです。正確には芋の一大産地である千葉県の香取市っていうところでなんですけど、そこで栗源のふるさといも祭っていう本当に昔から続いている大きな焼き芋のイベントがありました。ただお店が集まって売るっていうしフードフェスの形態ではなくて、あくまで芋を収穫して自らかまどを作って焼き芋をみんなで焼いて食べるっていうとこに重きが置かれてる地元のイベントであって、いわゆるそういう肉フェスみたいなイベントではなかったんですよ。

――どういうお店に来てもらうかなどはどのように決めていったんですか?

最初はツテも何もなかったので、ひたすら「焼き芋専門店」の看板を掲げるお店に飛び込み営業していました。トータルで100軒以上はお声をかけたかとおもいますが、9割のお店にはお断りされてしまいました。

当時はまだ実績もゼロでしたし、何人お客さんが来るか、正直言って自分たちにも想像できない状態でしたしね。「正直、何人来るか予想できません」「1日に50人は来てくれるんじゃないかと思っているんですが・・・・・・」なんてフワフワした事ばかり話していたら、そりゃぁ断られるのもムリはないわけで(苦笑)

でも、そんななかでも、「面白そうだね!」と言ってくださるお店の方がいたんです。のちにその方々とは「品川やきいもテラス」の立ち上げを通じ、「戦友」としてかけがえのない絆で結ばれていくことになります。

次回、イベント企画段階で食べに行った天谷さんに「焼き芋の衝撃」が走ることになります。

取材・文 増山健司(みんなの青果)

天谷窓大(あまや そうた)
Twitter:@amayan
一般社団法人さつまいもアンバサダー協会焼き芋担当理事。
ライター、放送作家、レンタルデブサービス「デブカリ」、おふろの国熱波師など様々な肩書を持つ。
焼き芋業界においては最大級と言われる「品川やきいもテラス」の企画運営に携わり、その後も全国各地で行われるイベントに引っ張りだこ。出店する焼き芋店舗からの信頼も厚い。

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