家ですき焼きをしてみました
すき焼きってどういう時に食べたいのか。
ごちそうには違いない。贅沢品。
一方で手軽に済ませようとすれば、外食あるいは牛丼チェーンでも出来たてで美味しいのを食べることが出来る。
もし家で家族と食べる時があれば、お祝いのようなおめでたい気持ちになる料理がすき焼き。ながらでは食べられない、ちゃんと向き合わなくちゃっていう料理。
みんなで美味しくお肉を食べましょう、贅沢に。そんな時に食べたくなるのがすき焼き。
鍋料理と言うよりは肉料理のカテゴリに入るかもしれない。詳しくは知らないんだけど、グツグツと牛鍋のように煮込むのが関東風で、焼いて割り下で味を付けるのが関西風。違ったらすみません。今回は関西風にしました。以前高級店で店員さんが作ってくれたのがそんな感じだったので。
スーパーで仙台牛の肩ロースを選ぶ。いままでで初めてかもしれない。いつもは輸入のステーキ肉や切落しばかりを選んでた。美味しくて安い。量も食べれる。「輸入を買う俺、賢いでしょ」みたいな感じで輸入を買う。それが今回ばかりは国産。泣く子も黙る仙台牛。いや、山形牛だったか。どちらにしろ高級品。買い物かごに入れるのも気合が入る。でも「いつも買ってますよ感」を無理に出そうとしてしまうのが小心者だったりもする。
馴染みの店員さんがいた。
「今日はすき焼きだから国産にします」
聞かれてもないのにアピールしてしまった。考える前に口が動いた。国産のブランド牛ですき焼きをするというのはそれだけ気合が入っているし、その気合をお店の人にも共有したくなるのだ。
そして割り下。
今日は生半可な気合ではない。割り下のランクは分からないけれど、せっかくだから一番高そうなやつにした。ペットボトル容器ではない。瓶に入った高級店の割り下。
卵はヨード卵光。すごく高級。果たして違いが分かるのか。
ここで問題。
野菜はどうするか。
高級路線で行くのであれば、、、松茸。いや、たしかに贅沢だ。でも肉に込めた気合が薄まる。主役が松茸になってしまうではないか。そして松茸はこんな「流れ」で買うものではない。準備して検討して他のメニュー構成も含めて決めてから買うのが松茸なのだ。
よし。ではこれしかない。群馬県の下仁田ねぎ。ダンボールにも書いてある。すき焼きにおすすめって。でもすき焼きで下仁田ねぎを食べたことがない。やってみよう。
こうしてメニューが決まった。すき焼き。そして下仁田ねぎ。プラスきのこ少々。
鍋を熱して、牛脂を引く。もらうのを忘れてお会計後にもう一度肉売り場へ取りに行った牛脂だ。
鍋があったまってきたのを見計らって、すき焼き用スライスの肉を丁寧に丁寧に広げる。パックには折りたたんで入っているので鍋の上で上手に広げるのが難しい。本気でやるとしたら手で広げるのか??箸だと限界あるな・・・でもなんとか広げる。薄いからすぐに火が通る。
ひっくり返す。ここまでは薄い肉の焼き肉だ。そして割り下をちょろっとかけて火を通す。
ヨード卵光。頼むぞ。熱々の肉がヨード卵光によってまろやかな温度にもなるのだ。
・・・
あぁ、これだ。この味。飲める。美味しい。やっぱりすき焼きは正義だ。焼き中心で煮込んでないから香ばしさもあって。正しい焼き方がこれで合ってるのか分からないけど、食味としては大正義だ。
鍋には牛肉から出た油とちょろっと残った割り下が熱々になっている。
ここで下仁田ねぎの出番だ。今日のは特に太かった。すぐに熱が入るとは思ってない。ここで転がす。育てる。
太い下仁田ねぎであっても表面に焼き色がつくのは早い。でも中まで火を通さないと完成しない。
この太さで中まで行けるのか??
正解はわからない。でも美味しく食べるためには、中の部分をにゅるっと出して一緒に焼いていく。
牛の油で香ばしく焼き上がる下仁田ねぎ。牛肉同様に割り下で味付けをして再度焼き上げる。
その味は・・・
甘くて、柔らかくてめっちゃ旨い!!なにこれ!!
そして油で焼いた香ばしさよ。ちょっとネギ油っぽい感じというか、ムチャクチャ好きなやつ。
そうか。下仁田ねぎは油、焼きとの愛称が良いのか。これは知らなかった。太いネギだから煮込めば良いんじゃない?って思ってた。
旨い。
でもこれが市場の市況でいくらするのかも知っている。味としては1束500円の味。でも決してそんなに高いものじゃない。もっともっともっと安い。
こんなに安くてもこんなに美味しいというのが凄いのか。それともこの美味しさであればもっと高値で人気商品として売れるべきなのか。
ちょっとわからない。どっちも正解なんだろう。
ただ間違いなく言えることはこの美味しさをぜひ、皆さんにも共有したいということだ。
写真はない。パシャパシャ撮るのもすき焼きの前では控える気持ちになるからだ。
確か徳川家に献上したという逸話も聴いたことある。確かにこの美味しさ、将軍にも伝えたい!!って思うのももちろんだろう。
そういえば、以前取引先の和食屋さんで下仁田ねぎの天ぷらを食べさせてもらったことがある。あれも香ばしくて美味しかった。下仁田ねぎは油と合わせるとやばいんだな。
もちろん、代表メニューであるすき焼きだけの話。他のメニュー、あるいは和食に限らずフレンチ、中華料理でうまいことやっても最高なんでしょう。ただ、あの高い気合を入れないと買えないブランド牛の美味しさと同じぐらいの感動がある下仁田ねぎ。ぜひ皆さんも、皆さんならではの方法で召し上がってください。1年中あるわけではない。季節限定です。